許されない公取委の腰砕けの判断

今年夏までのコンビニの独占禁止法違反申告を「措置しない」と処理

2020年12月28日 コンビニ関連ユニオン 執行委員長 河野正史

(1)

 公正取引委員会は、12月22日付けで、コンビニ関連ユニオン執行委員長河野正史に対して、「2019年年9月9日、同年10月31日、同年11月7日、同年12月9日、令和2年2月17日および同年6月18日に書面で報告をうけた株式会社セブン-イレブン・ジャパンに対する件について、これまでの情報では、独占禁止法上の問題とするのは困難ですので処置は採りませんでした」とする通知書を送付してきた。 また、同時期に河野とともに申告した者に対しても、同様に「措置はとりませんでした」とする通知書がそれぞれに送付されている。

 コンビニ関連ユニオンとは直接関係のない申告についても12月22日前後に同じく「措置は採りませんでいた」とする通知書が一斉に送られているものと思われる。

(2)

 河野が他のオーナーと共同で申告した内容は、セブンイレブンに対して、基本契約57条(58条)に定められた「5年経過ごとの契約の見直し」を3回にわたって書面で求めたことに対して書面をつきかえすなど回答を拒否したことに対して、優越的地位の濫用であるとして申告したものである。 

 また、オーナーヘルプ制度が機能しておらずその点で欺瞞的顧客誘引に該当するとして追加申告したものであり、同時にオーナーヘルプ制度が機能していないにもかかわらず24時間365日営業を強制するのは優越的地位の濫用であるとして申告したものである。

 さらには、おでんの勝手に発注など、オーナーの裁量権であるはずの発注を本部社員が行なっていた事実が不公正な取引にあたるとして申告していたものである。 

 さらには、ミニストップ、ローソンにおいても募集時の説明が果たされていないことが欺瞞的顧客誘引にあたるとして申告していたものである。

 そのうえで、コンビニ関連ユニオンとは直接関係のない申告も多数なされていることがわかっている。それらのことごとくが「措置しない」と処理され、そのむね通知されているものである。

(3)

 われわれコンビニ関連ユニオンとしては、この公取委の「措置しない」という処理は断じて容認できない。昨年の申告から、1年以上が経過し、われわれの問い合わせにたいして「現在調査中」とだけ答えていたものが、12月末になって一斉に同様の処置を通知してきたことに、今回の処理の真の姿があらわれている。 9月2日の公取委の実態調査報告の公表と「11月末までにコンビニ各社に自主改善を求める」とし、コンビニ各社が12月冒頭に改善策なるものを提出し、表向き改善にすすんでいるかのような仮象をつくりだしたことを見届けて、滞貨一掃のように「措置しない処理」と通知してきたと考えざるをえない。 

 公取委はコンビニ各社、その背後にいる三井、三菱、伊藤忠といった商社におもねって、「自主改善策を出してくれれば排除命令は出しません」と裏取引していたとさえ推測できる。 

 実際、コンビニ各社、とりわけセブンイレブンが、われわれが公取委へ申告闘争を重ねていることにあわてて、「24時間は強制してません」「さまざまな援助をしています」と弁明工作を行なったことは十分ありうることである。

 しかし店舗の現場では、2%のチャージの増額をはじめとして時短をやめさせようとする本部の圧力は継続しており、「契約更新に影響しますよ」として脅す事例はなんら変っていない。この現場の実情を見ることなく、本部の騙しのテクニックを知ってか知らずか、改善策の提出を材料に排除命令を見送ったのである。 しかし、これでは対等な事業者同士という経済取引の公正を確保すべき公取委がその使命を放棄するに等しい。断じて許せない。

(4)

 だが、このことをもって我々は闘いをあきらめることはないし、闘いの手を強めることはあっても緩めることはない。

 も重要なことは、公取委がどう判断するかにではなく、公取委報告も活用して現場で店舗オーナーが本部の独占禁止法違反行為と闘うことである。極めて弥縫的であり、アリバイ的と言わざるをえないにしてもコンビニ各社が自主改善策を出さざるをえなくなったのも、また中途半端とはいえ公取委はそれを求めざるをえなくなったのも、全国のコンビニオーナーの悲鳴にもにた申告闘争と怒りの声、そしてささやかながらわれわれもそれを代弁しようして闘ってきたゆえである。 われわれとしては、今後、各社の改善策の欺瞞的な実態を明らかにすることに全力をあげる。

 すでに9月2日の公取委報告を解説するパンフレットを作成、配布して、全国のオーナーに独占禁止法違反事例の摘発行動をよびかけている。来年にも予想される新たなガイドラインが今までよりもハードルが上がったものになることは必至であり、われわれは,新たなガイドラインをも活用して新たな申告闘争をよびかけて排除命令を出させることに全力をあげる。 

 また、「100年に一度」というコロナ情勢という「経済情勢の激変」にも変らず契約改訂を拒否しつけるコンビニ本部の契約違反を弾劾して闘う。「コンビニ大量倒産時代の到来」が指摘されるなか、コロナ禍はコンビニ会計の見直し抜きにオーナーは生き残ることはできない。 

 すでにさまざまな情報がわれわれのもとに寄せられており、新たな申告闘争を開始する。そして、実験時短ではなく、営業時間日時の完全裁量権確保をめざして闘う。募集時の説明の完全な履行を求めて闘う。コンビニ会計の抜本的改革を求めて闘う。もって対等な事業者同士の関係の真の形成のために闘う。コンビニモデルの抜本的改革は時代の要請であり不可避である。コンビニ関連ユニオンはその先頭で闘う。

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。