ファミリーマートは直営店スタッフに補償せよ!


コンビニ関連ユニオンは〇〇地区にあるファミリーマート直営店の従業員スタッフのA組合員(女性)の処遇に関して2025年3月18日にファミリーマート本部との第2回団体交渉を行った。
A組合員はファミリーマートの直営店2店舗でパートで働いてきたが、そのうちの1店舗B店の経営権が新しいオーナーに移行し、直営店ではなくなった。A組合員は新しいオーナーと雇用契約を結ぶことができず、解雇を通告された。
A組合員はこれまでファミマの直営店2店舗合計の労働時間が社会保険加入要件を満たすので、社会保険に加入していた。健康保険は伊藤忠グループの健康保険組合加入である。B店の解雇にも納得できないし、社会保険から外れるのも納得できない。
それでコンビニ関連ユニオンに相談して、組合員としてファミリーマート本部に要求書を提出して、雇用と収入の補償、社会保険の継続を求めた。
第2回団体交渉で、大きな問題が明らかになった。A組合員とファミリーマートとの雇用契約書である。「直営店ストアスタッフ雇用契約書」と題する雇用契約書。契約者欄の(甲)にはA組合員の住所と名前が記載されているが、使用者欄の(乙)が店の住所と店の名前になっているのである。店長でさえなく、「店」なのだ。
労働契約は、「労働者」と「使用者」の間で締結されるものである。「使用者」の定義は労働基準法や労働組合法では異なるが、何よりも労働契約法上は賃金を払う義務を負う者である。「使用者」が「ファミリーマート〇〇店」ってどういうことなのか??
店長は直営店の場合、ファミリーマートの社員である。ただの社員であって、賃金を払っているわけでも、自分の意志で就任したわけでもない。「使用者」はファミリーマートの役員・役職者でなければならないのではないか?これについて、団体交渉に出席した人事部をはじめとして誰も回答ができない。
この雇用契約書には「退職・解雇」の項に「当店が閉店または事業主変更した場合は当雇用契約は終了する」と記載されている。今回のA組合員のB店の事業主変更に伴う解雇は雇用契約通りだというのが会社の主張である。
しかしファミリーマート直営店の雇用契約は4月1日からと10月1日からの6ヵ月契約で統一されていることも明らかになった。A組合員は3月31日までの契約なのに途中で事業主変更で解雇されてしまったのだ。組合はこれについて契約違反で補償を求めた。
ファミリーマートも問題を認めて代わりの勤務先の確保に動いてくれてはいる。しかし新しい仕事先が決まるまでの間、収入が減った期間、A組合員の生活はどうにも回らなくなってしまった。
組合は、この雇用契約書の問題は見過ごせない。そもそも2店舗とも「使用者」は同じファミリーマートであり、給料を払っているのも同じファミリーマートである。それをわざわざ雇用契約を店ごとにして、さらに雇用契約書の「使用者」を「ファミリーマート〇〇店」としてごまかして、オーナー店になった時はいつでも解雇できるとしてきたのである。
コンビニは近年最低賃金が上昇して経営が厳しいと悲鳴を上げる。確かに最低賃金(全国加重平均額)は2002年の663円から2023年には1004円へと1.5倍以上になっている。しかし同じ期間に民間の給与所得者の平均給与はまったく上がってはいない。要するにコンビニのビジネスモデルが、最初から非正規労働者、とりわけ女性の非正規労働者を無権利で安く(最低賃金で)働かせて利益を上げるというものだから破綻しているのだ。それは日本の新自由主義社会の象徴である。
そしてそのビジネスモデルのもう一つの側面が、こうしたインチキな雇用契約で労働者を使い捨て自由に扱っていることなのだ。
コンビニ関連ユニオンはA組合員にB店で解雇されて以降、新しい店で就労できるまでの期間、最低限の措置として休業補償を支払えと再度要求した。泣き寝入りはしてはならない。コンビニ関連労働者はコンビニ関連ユニオンに加入してともに闘おう。
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