コンビニオーナーは労働者ではないとする不当判決を弾劾する!

判決を乗り越えあくまで交渉権確立にむけて総団結で闘い抜こう!

2022年6月7日 コンビニ関連ユニオン

 東京地裁(布施雄士裁判長)は6日、コンビニ加盟店ユニオンに加盟するオーナーたちが中央労働委員会命令の取消を求めていた訴訟で、請求を棄却する反動判決を言い渡した。「コンビニオーナーは、本部と対等に団交できるよう労組法で保護すべき労働者にはあたらない」とする内容で、断じて容認できない。徹底的に弾劾するとともに今後予想される控訴を応援しつつ、我々はあらゆる工夫をしコンビニ関連労働者すべての総団結した力でコンビニオーナーの交渉権確立、勤労環境改善のために闘い抜くことを声明する。
 コンビニオーナーのコンビニ本部との交渉権確立の闘いは、ひとえコンビニだけの課題ではなく、フランチャイジーすべて、さらには「雇用によらない働き方」などと称するアベノミクスの政策によって一方的に「個人事業主」とされ労基法をはじめ一切の保護を剥奪されて働かざるを得なくさせられてしまっている厖大な非正規労働者全体の課題であり、その生存と未来をかけた闘いである。
 大多数のコンビニオーナーの勤労実態が本部に支配された労働者と認定するべき状態にあることはあきらかであり、イギリス最高裁が2021年ウーバーのドライバーを労働者と認める判決を下しているように、今回の東京地裁判決は法律論としても誤っている。また、コンビニオーナーの苦境、人権侵害、生活や生命の危機的状況はこの間社会的に明らかにされ、公正取引委員会の大規模なアンケート調査によっても暴露されたところであり、この人権侵害状況を無視し切り捨てたのは司法の社会的使命を放棄したものだ。
 しかし、われわれはこうした資本を代弁する司法の攻撃に断じて屈しない。あくまでもコンビニオーナーの交渉権確立にむけて闘い抜く。
 問題は、オーナーが労働組合法上の労働者と認定されるべきか否かという論点にだけあるのではない。闘い方も司法の判断に委ねることだけでもない。
 また、フランチャイズ・システムで苦しんでいるのはコンビニオーナーだけでもない。パワハラ環境で働くことで精神疾患をわずらうコンビニ本部社員、過労死レベルで働かされる配送ドライバー、最低賃金でダブルジョブ、トリプルジョブで働かざるをえないコンビニ店舗従業員、おにぎりなどデイリー商品工場の主力労働者となっている外国人技能実習生、他のフランチャイズで働いている事業者、労働者、その全てが苦しめられている。
 こうした関連労働者の犠牲のうえにコンビニシステムは成り立っていて、本部だけがコロナ禍にもかかわらず史上最高益をあげ取締役連中だけが多額の報酬を懐に入れている!
 オーナーは労働者ではなく「独立した事業者」だとするのであれば、営業時間、見切り、発注の裁量権がないことをどう説明するのだ、これは独占禁止法が禁ずる優越的地位の濫用ではないか!
 「家族旅行もできますよ」「オーナーヘルプ制度がありますよ」「安定した生活ができます」と言ってフランチャイズ契約を締結させたのは独占禁止法が禁ずる欺瞞的顧客誘引ではないか!
 「オーナーは労働者ではないから団体交渉はできない」というが、本部社員には団結権、団体交渉権、ストライキ権が保障されている。配送、工場、従業員も全く同様だ。ドアは一つだけではない。関連労働者が総団結すれば、コンビニ本部という巨象とも対等な力関係を築くことは不可能ではない!
 コンビニ関連ユニオンは、セブン本部社員を委員長にして、本部社員、オーナー、配送、工場、店舗従業員など関連労働者すべての団結体として2019年6月結成された。
「①24時間営業義務化廃止、②本部負担で店舗従業員社保加入促進、③自爆営業根絶、④関連労働者の労働条件改善」を主たる目標に闘ってきて、一定の成果を実現してきた。
 闘いの戦術も、ストライキ、団体交渉、労働委員会、裁判、公正取引委員会申告、集会、メディア、SNSなど広報活動と「水の如く」をモットーに闘ってきた。
 団体交渉については、ユニオン結成直後2019年7月5日に約束していた第一回目団体交渉をセブン本部は5日当日になって突如拒否してきたが、ついに2022年5月30日団体交渉を再開させる勝利をかちとった!そこには松本オーナーも参加し積極的に発言した。「社員に深夜休業マニュアルを出しているなら、それを提出せよ」「社員が独占禁止法違反をしたら懲戒すべきだ!」と迫る交渉をかちとり、次回8月8日に継続交渉を予定している。
 約束していた2019年7月5日の第1回団交を突如拒否したのは、「24時間問題で交渉に応じたらオーナーに間違った情報が伝わり混乱が生じる」という本部判断が理由で、しかも「ユニオンが姿勢を変えない限り無期限に延期する」と24時間義務化廃止を断念しろと迫る明々白々の不当労働行為(労組法7条違反)を行ったのだが、その後3年間、長野県労働委員会で団交拒否=不当労働行為救済の審理が進んでセブンの不法行為が明らかになったことと、公正取引委員会のフランチャイズ・ガイドラインが改訂され「24時間を強制した場合は優越的地位の濫用=独占禁止法違反になる」(社員が違法行為をすることになる)ので各社自主的に改善するようにと通達されてしまったことで、「社員の労働条件とは無関係」とは抗弁することができなくなったからだ。今後、社員の規範、社員就業規則の問題として交渉していく予定だ。
 さらに東大阪南上小阪店の松本オーナーの時短決起をともに闘い、不当な契約解除攻撃にも裁判闘争をともにたたかって来る6月23日に判決をむかえようとしている。松本オーナーもいかなる判決であろうとコンビニ業界を変革するために闘いの先頭に立つ決意でいる。
 われわれは今回の不当判決に絶望もしないし、あきらめもしない。第3次世界大戦も不可避といわれる時代、政府が改憲し日本を東アジアでの戦争に参戦させようという時代である。そうした時代に司法が反動化するのはある意味では歴史の教訓でさえある。
 戦時下への突入とアベノミクスの破産で物価は急上昇し、どこまで上がるか分からない状況だ。労働者も賃上げなしには生きられない。今年10月には最低賃金の上昇も不可避である。経費は増え、売上は減り、コンビニ経営はもっと苦境に陥ろうとしている。もはやこの情勢ではチャージ(ロイヤリティ)改定に手をつけることなしにはコンビニ全店舗が総倒産しかねない。
 逆にいえば、総団結して本部=巨大商社と闘い、コンビニモデルを変革させる以外にオーナーのみならず関連労働者の生きる未来はない時代に入った。コンビニ関連ユニオンは今回の不当判決にもかかわらず、それをも乗り越えて、コンビニモデルを変えるために不屈に闘う!オーナーはもちろん、関連労働者、フランチャイズ労働者、フリーランスは、勇気を奮ってコンビニ関連ユニオンと総団結して闘おう!

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