声明 セブンに忖度した不当判決ゆるさずコンビニ業界大改革めざして闘いぬく!

声明 セブンに忖度した不当判決ゆるさずコンビニ業界大改革めざして闘いぬく!

2022年6月26日 2 投稿者: konbiniworker

声明

セブンに忖度した不当判決ゆるさずコンビニ業界大改革めざして闘いぬく!

2022年6月26日  コンビニ関連ユニオン

 23日大阪地裁第25民事部(横田昌紀裁判長)は、セブンが全面勝訴する不当判決を下した。断じて許すことはできない。松本オーナーと固く団結して控訴審で逆転させるべく闘うとともに、今までにもましてコンビニ業界の大改革をめざして闘い抜く。

 セブンが本件契約解除を強行したのは、松本オーナーが時短に立ち上がったことを契機に、コンビニのとりわけ24時間営業義務化がいかに過酷な犠牲をオーナーや店舗従業員に強いているかが知れ渡り、「24時間義務化はやめよ」という世論が大きくなったことに、契約解除といういわば伝家の宝刀を打ち下ろすことで全国のオーナーへの見せしめとしてこれ以上の時短拡大をくいとめ、あわよくば24時間営業義務当然の状態に引き戻そうとしたためである。公正取引委員会も大規模な調査を始めたなかで排除命令をさけるために、表面的には「時短はオーナーの自由」と言いはしたが、24時間営業義務化はギリギリ維持するというのがセブン本部の本音である。

  「クレームが多い」などという理由はその資本の要請を満たすために、カスタマーハラスメントと言うべき事例まですべてオーナーの接客態度が悪いと決めつけて解除理由にでっちあげたものである。

 そうしたセブンの意向をそのまま反映したのが今回の判決であった。松本オーナーが判決直後「セブンに忖度した判決だ」と喝破した通りだ。当初の裁判官が突然交代した時点から不可思議な雰囲気はあったが、財界と国家権力が総力でセブンと流通巨大資本の救済のために画策したと判断して間違いない。

 それは、判決の内容からも明らかだ。セブンが主張したクレーム事例について、法廷での審理でその存在が否定されたこともことごとく無視し、法廷では取り上げなかった例までセブン側代理人の陳述をそのままコピペしてカスハラ事例をクレーム事例として羅列することに紙数を費やしている。

 とりわけ、店舗向かいのマンションから隠し撮りされ法廷で上映された場面について、動画内の表示時刻を示しながら、ここで暴行され、ここで転倒し、などと書きつらねているが、法廷でおきたことは、アンデルセンの寓話のように、何も見えていない動画を前に、セブン側代理人が「ここで、暴行され、ここで転倒した」と独演、陳述するという異様な光景だったのだ。また、当該利用者が「セブンに慰謝料をもらえると思っていた」と陳述したことは100%無視して、「推認できる」「推認できる」という推認論法で当該証言は信用できると認定している。

 こういうあらかじめ結論ありきで、クレームが多かったと認定する一方、松本さん側代理人が主張した事件の本質、すなわち24時間営業義務をめぐってセブンと松本オーナーや全国のオーナーとが対立してきた背景についてはなんら検討せず無視し、「クレームが理由の契約解除だから、24時間問題は関係なく独占禁止法や優越的地位の濫用にはあたらない」とわずか数行で決めつけている。

  まるで、会社側弁護人が裁判長席にいるのかと思ってしまうほどで、まさに、国策判決、セブン忖度、財界忖度判決といっていい。

 財界としては、物言うオーナーの存在自体をつぶしたいのだ。おかしいことはおかしい、というのは当然のことだ。だが、戦争への動きが強まる中、政府、財界は物言う労働者、物言う事業者をつぶしたいというのがこの判決の政治的背景だ。その先には戦争への動員が迫っている。

   逆にクレームが多いと強調せんがために昨今問題になっているカスタマーハラスメントは客には問題がないかの論述になっている点では際だっており、 全国のオーナーが苦しんできた、駐車場の長時間無断駐車場、家庭ごみの投入、トイレの身勝手かつ破損、落書き、汚い使い方、従業員への暴言、身勝手な要求、レジ前に並ばない、箸などサービス品はすべてオーナーの負担になっていることなど、店舗経営でのオーナーや従業員の過大な肉体的金銭的負担についてその是非を検討する視線はまったくない。

 「箸4膳くれと要求した客に(それが必要な商品を購入してないから)毅然と2膳しかわたさなかった」ために本部にクレームが入った例をあげて「オーナーは謝罪してない」とか、レジに並んでくれと要請したのに並ばない客に「来なくていい」と言ったのは問題とか、近隣の学校にイベントに参加するために長時間無断駐車する例が多いから有料にしたのは問題とか、カスタマーハラスメントを問題にするのではなく、カスタマーハラスメントを注意した店舗側の接客態度が問題だとしている。そして 判決は「カスタマーハラスメントが社会問題化しているのは公知の事実だが、仮に一部の利用客に問題があったとしても、加盟店は統一されたブランドイメージを確保する接客対応が求められるから、店舗独自の基準による接客対応は許容されるものでない」(!)とまで言い切っている。どんな酷い客、カスタマーハラスメントでも本部の奴隷になってフレンドリーな接客をしろ、というのだ。

   コンビニ会計においては、発注が増えれば本部は確実に利益をあげ、店舗は売りきらなければ利益が出ず、経費は店舗負担である仕組みになっている。そのため、本部にとっては「万引きさえ上客」と扱うことになる。店舗に過剰な負担となる「フレンドリーな接客対応」を求めるのも、本部だけが儲かるためにすぎない。

   しかし、オーナーも従業員もコンビニシステムの奴隷ではない。理不尽な契約や「フレンドリーサービス」のイメージという名の支配統制よりも大事な命、人権があるのだ。理不尽なカスタマーハラスメントには注意し拒絶する権利があるし、消費者も一部の「客は神様」といった間違った考えを再考すべき時代になっているのだ。「開いててよかった」「近くて便利」ではなく、「なんでこんな時間まで高い電気代を払って開けているのか?こんなに近くにコンビニ、またコンビニっておかしくないか?」そういう時代に入っているのだ。

 しかし、こんな脆弱な判決で全国のオーナーたちの怒りや苦悩を沈静化することはできない。むしろ怒りはこれから爆発する。2019年時点では何よりも「ゆっくり寝たい」という生理的欲求だった。それからコロナ禍の3年。セブン本部は過去最高益だが、店舗は売上、利益とも減少。借入や支援給付金でなんとか生きつないできたが、借入返済のめどがたたない店舗が増加している。ユニオンにも消費税が払えない、スタッフが集まらないという悲鳴の相談が増えている。そこに昨年の最低賃金引き上げがあり、ここに来てのますます上がる趨勢の歴史的な物価高だ。「契約解除が怖い」どころではない、まさに、廃業、倒産の危機に直面している。10月にまた最低賃金があがるが、人手不足解消のために各業界とも給与のアップを模索する中で、コンビニ店舗はチャージに吸い上げられて最低賃金に張り付いた給与しか提示できない。それすらも出せないのが実情だ。そのために、もはや募集しても留学生ですら応募してこなくなっている。危機は3年前よりも深刻化している。

   コンビニ開始以来の経済危機に対応したチャージ大幅減額を実現する以外に生き延びる道はない。問題は、本部だけが儲かり、店舗は売り切らないかぎり利益が出せず、経費アップをすべて背負い込む、というコンビニ会計、コンビニモデルそのものにある。

  たたかいはこれからだ。不当判決には、オーナー、弁護団は控訴して闘う方針であるが、裁判闘争は、こうした経済的危機、コンビニ店舗総破綻危機と一体で闘われる。 右肩上がりを前提にしてなりたったコンビニ会計、コンビニモデルはもうこのままでは通用しない。危機は好機である。オーナー、従業員、本部社員、関連労働者が総団結し、巨大流通資本、商社と闘うことだ。コンビニ関連ユニオンもさらに闘いの輪を拡大して、コンビニ会計の矛盾をついてコンビニ業界を大改革するために闘い抜く。