セブンイレブンはオーナーに違約金を払え!オーナーヘルプ制度の罠

 今年の5月23日のセブン&アイ・ホールディングス株主総会。質問に立った株主のオーナーが言った。「今日ちょっと旅行でオーナーヘルプ制度使いたいと頼んだんですけど、旅行はなくなりました、内規でなくなりましたって言われて、断られちゃったんですよ。」「もともと契約締結するときに読んでくださいって渡される、あの、『セブンイレブンの横顔』っていうものにオーナーヘルプ制度として、ちゃんと旅行とか、書いてあるんですよ、冠婚葬祭とか、だから、一生懸命オーナーヘルプ制度を拡充するっていっているそばから、突然、もうこれはなくなりましたって言われてしまって、ちょっと衝撃を受けているんですけど、どういうことなんでしょうかねぇ?」

 これに対して回答に立ったセブン-イレブン・ジャパン永松社長は、「人手不足の中で、より優先度が高いというものはキチッとフォローしなければいけないんではないかと。そういった意味では冠婚葬祭ですとか、ご家族の疾病ですとか、またご本人の疾病ですとか、こういったところをですね、より優先すべきだという考えのもとでですね、で、すみません、旅行については、ちょっと優先度を下げさせてもらいました。」と答えた。

 納得がいかず「でも、ここに書いてあって入っちゃったんですよ?」と食い下がるオーナーに、後をつないだ井阪社長が「株主様のご忠告は、その内規が変わったら、周知を徹底してほしいということも含まれて…そこについては、徹底してまいりたいと思います。ありがとうございました。」と受けて、一方的に回答を切り上げた。

 これまでセブンイレブンは、オーナーとの「加盟店基本契約書」で、「加盟についての判断資料」と示す「セブンイレブンの横顔」で「冠婚葬祭や旅行、病気などでオーナー様が不在の場合に営業を代行するオーナーヘルプ制度」と明記していた。にもかかわらず、今回、旅行は使えなくなったと、社長が株主総会で答えたのである。これより先に、この件でオーナーが社長に説明を求めて本社に乗り込んだ際には、対応したDMの口から、内規を変更した、旅行には使えないようになった、と知らされていた。しかも、この内規の変更はオーナーには知らされず、本部社員にさえ知らされていなかったのである。

 常識的には、これはとんでもない本部の契約違反である。この責任は、これから、大々的に追及されなくてはならない。

 コンビニ関連ユニオンの永尾潤副委員長(前橋市のセブンイレブンオーナー)は、公正取引委員会に「優越的地位の濫用」として申告すべきだと考えている。こんなでたらめで一方的な契約違反を許してはいけない、と。コンビニ関連ユニオンは、これをひとつの運動として広げ、全国のセブンイレブンオーナーの怒りを結集して、本部を追いつめる先頭に立ちたい。

 以下は、「オーナーヘルプ制度」にだまされて、人生を台無しにされた元オーナーが、2007年にセブンイレブン本部に文字通り違約金(「債務不履行による損害賠償」)を請求した内容証明郵便とそれに対する本部の回答だ。積もりに積もったオーナーの怒りを結集して、今こそ腐りきった経営陣を一掃しよう。

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平成19年12月15日

東京都千代田区二番町8番地8

株式会社セブンーイレブン・ジャパン 代表取締役社長山口俊郎殿

北海道小樽市〇〇〇  畑日出男

請求書

請求金額 66,061,590円

貴社の3度にわたる債務不履行による損害賠償として、下記のように、頭書の金額を請求いたします。

拝啓

貴社ますますご清栄の事とお慶び申し上げます。

さて、私は、1992年6月25日貴社との間で加盟店基本契約を結び、1992年11月27日に開業、2007年11月26日をもって貴社との契約満了を迎えた元セブン-イレブン小樽入船店のオーナー畑日出男と申します。

ディストリクトマネ一ジャー、ゾーンマネージャーにも申しておりますが、過去3度にわたるオーナーヘルプ制度の申請にもかかわらず、貴社が1度たりともこの制度を使わせてくれなかったことに対する損害賠償を請求いたします。

これまでの経緯ですが、1992年の春より貴社のRFC松田氏と契約に関する話を進めておりました。その中で、私が一番重要視していた点である「オーナーヘルプ制度」について、私は以下のように質問いたしました。

「私は現在結婚しておりませんが、24時間365日15年間経営する中で、新婚旅行などには行けるのでしょうか?」との質問に対し、「そのためにオーナーヘルプ制度というのがあるわけでして、冠婚葬祭はもとより旅行などでも使うことが出来ますよ。心配しないでどこにでも行ってきてください。」という回答をRFC松田氏から即座に頂きました。私は、このような本部の支援があるのであれば安心して経営できると思い、契約に踏み切りました。このような制度が無いというのであれば、契約は絶対にしませんでした。

1995年2月1日、祖父が亡くなりました。冠婚葬祭ではオーナーヘルプ制度を当然使えるだろうということで、OFCに口頭でその使用を申請しました。しかしながら、オーナーヘルプ制度は使えませんとのことで、使わせてもらえませんでした。当然に本部に対する不信感も出てきました。

1998年の5月、私は結婚する事になりました。当時の担当OFCにその旨を連絡し、オーナーヘルプ制度を使うことを要求いたしましたが、数日後、「新婚旅行ではその使用を許可できない。」とOFCを通して断られました。「契約時に使えるとRFCの松田氏などが言っていたので、使えるでしょう?」と何度も私は言いましたが、貴社の答えは「使えません。」でした。あまりセブン-イレブン本部との間柄が悪くなるのは避けたいということで、私は、しょうがなく姉に頼み込み深夜勤務をしてもらい、なんとか形だけでも、ということで3泊4日の国内旅行に不安な気持ちで行ってきました。海外に1週間から10日くらいで行く予定でしたが、そんなに長い間姉に迷惑は掛けられないですし、携帯電話の通じる国内でなくては不安で行けないとの理由から国内旅行に切り換えたわけです。ものすごく悔しい思いがたちこめました。

確かそのときだと思います、私の姉がディストリクトマネージャーに「ではオーナーヘルプ制度とは、いったいどのようなときに使うことが出来るのですか?オーナーが死んだときくらいですか?」と尋ねると、「そうですね。」という答えが返ってきました。その話を私は聞いて呆れかえりました。オーナーが死んだら契約終了です。

正当な理由無しに2度にわたるオーナーヘルプ制度の使用の申請が却下され、本部に対する不信感はますます広がりました。

そして、数年経過し、私の母が亡くなりました。2004年11月30日の事です。さすがに母の通夜や葬儀だけはず~っと斎場にいたい、本部もさすがにオーナーヘルプ制度を使わせてくれるだろうと思い、すぐさまOFCに連絡を取り、手配してもらおうと思いました。しかしながら、本部の回答は「深夜においてはヘルプ制度は使えませんよ。」ということでした。「そんなこと聞いた事がない、深夜だろうとかまわないだろう。何のためのオーナーヘルプ制度なのか?」と押し問答になり、結局のところオーナーヘルプ制度は使わせてもらえませんでした。私は、施主でありながら、親族一同が集まる通夜の席を抜け出し、勤務シフト者がどうしても埋まらないセブンーイレブン店舗の深夜勤務を行いました。ものすごく情けなく、今思うだけで涙が出てきます。ものすごい親不孝者のようです。世界にたった一人の生みの親ですよ。

何故こんな会社と契約してしまったのか。何故頑なに本部はオーナーヘルプ制度を使わせてくれないのか。私は完全に本部不信になりました。

あとで聞いた話ですが、北海道ゾーンの小樽地区はAFCが居ないため、オーナーヘルプ制度を使えなかったらしいです。しかしながら、私たち加盟店はアルバイトが居ないからといって店を閉めることは出来ないのです。それは契約がありますし、社会的責任もあるからです。

契約中に上記の話を何度かディストリクトマネージャーに訴えかけました。あるマネージャーさんは深夜にオーナーヘルプ制度の使用が駄目だという事はない、ただ時給が高くなるだけです、と言ってくれました。そして、オーナーヘルプ制度を使わせてくれなかった責任の追及を最後までやらなくては駄目だと助言してくださいました。契約中も何度か社長様宛に手紙を送ろうかと思っていたことがありましたが、仕事に追われる毎日でそれどころではないというのと、話をあまり大きくしたくなかったという理由から、契約満了を迎えた現在にこういう請求をした次第です。

貴社の行ってきた3度にわたるオーナーヘルプ制度の使用の不許可行為は契約違反であり、加盟店基本契約書第57条1項の規定(1)に従い、当店の過去12ヶ月分の売上高合計の10パーセント相当額を請求いたします。

当店の売上高

1994年2月から1995年1月の12ヶ月間の売上高     216,052,796円

1997年5月から1998年4月の12ヶ月間の売上高     250,441,769円

2003年11月から2004年10月の12ヶ月間の売上高    194,121,342円

上記期間の合計額                    660,615,907円

上記合計の10%                      66,061,590円

さらに、オーナーヘルプ制度が実施できないのであれば、加盟店付属契約書、貴社のホームページ、CSR、オーナー募集パンフレットなど全ての媒体から「オーナーヘルプ制度」の記載を削除し、貴社のホームページ上で最低1年間「オーナーヘルプ制度は廃止しました。」と記載していただきたい。

再三にわたる貴社マネージャーとの話し合いの中では、貴社の行なってきた正当な理由なきオ一ナーヘルプ制度の不許可行為を認めておりますが、いまだ解決には至っておりません。

以上の請求事項について異議のある場合には、10日以内に文書にてご回答をお願いいたします。

敬具

差出人 北海道小樽市〇〇〇  畑日出男

(付記)

受取人  〒102-8455 東京都千代田区二番町8番地8

株式会社セブン-イレブン・ジャパン 代表取締役社長 山口俊郎 殿

この郵便物は平成19年12月15日 第10585593034号書留内容証明郵便物 として差し出したことを証明します。

郵便事業株式会社  受付通番:2007121511405300100000号

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平成19年12月24日

北海道小樽市〇〇  畑日出男様

回答書

東京都千代田区二番町8番地8

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

代表取締役社長 山口俊郎

拝復寒冷の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。また畑様が当社との間で取り交わした加盟店基本契約書(以下、加盟店契約といいます)に基づき、1992年11月27日から2007年ll月26日までの15年間の長きにわたりセブンイレプン小樽入船店(以下本件店舗といいます)の経営にご尽力頂いた事を心からお礼申しヒげます。

さて去る12月17日畑様より当社あてお手紙を頂戴いたしました。お手紙の内容としては、加盟前に冠婚葬祭に伴いオーナーヘルプ制度の適用を受けられると聞いていたが、実際に本件店舗運営中に3回、制度の適用を申請したが受け付けられなかったというものと承っております。

加盟店契約にはおっしゃるようにオーナーヘルプ制度が予定されておりますが、これはオーナー様の病気、事故などで長期にわたり店舗経営が不能となる場合を想定しているものです。もちろんオーナー様とのフランチャイズ関係において当社は契約上の義務はない場合でも、社員による店舗運営のフォローを行う場合もございますが、これはあくまで現場の判断によるものでございます。

畑様の場合、冠婚葬祭の場合でもオーナーヘルプ制度の適用を受けられるとの事前説明があったとのお話でしたので、早速、事実確認を行うため開店当時の担当リクルートフィールドカウンセラー及び過去3度に渡る申請時に関わった者を調査いたしました。

しかしながら契約したリクルートフィールドカウンセラーは既に退職しており、残念ながら加盟店契約上の制度の説明をしたのか、あるいは現場の判断で冠婚葬祭のフォローがあることをお話したのか事実確認が出来ませんでした。

また最初と2回目の申請についても95年2月と98年5月のことでございましたので、担当者も退職しており、当時の経緯など確認することができませんでした。3回目となる04年11月の件は当時の担当ディストリクトマネジャーが、ヘルパー申請があった事は記憶していましたが、当時新店準備期間と重なった為、アシスタントフィールドカウンセラー派遣が困難との判断により、担当オペレーションフィールドカウンセラーを通じてフォローをお断りした事実が確認できました。当社としましては、そのような事情であれば当時の現場の判断はやむをえなかったと思います。

また現場判断によるフォローを行うことと、加盟店契約上の義務とは全く別のこととも考えておりますので、お手紙の中にありました66,061,590円に及ぶ損害賠償の請求については応じかねることをご回答申し上げます。

お手紙では最後にヘルプ制度は廃止せよとのお言葉がございましたが、加盟店契約の内容となっており、いまのところ改訂の予定はないことも併せて申し副えます。

当時、現場の都合がつかずお申し出に添えなかったことにつきましては、誠に申し訳なく存じますが、諸事お考え併せのうえ、ご宥恕賜りますようお願い申し上げます。

敬具

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