公正取引委員会が24時間営業の強制は独占禁止法違反の見解示す!

公正取引委員会が24時間営業の強制は独占禁止法違反の見解示す!

2020年9月3日 1 投稿者: konbiniworker

公正取引委員会は9月2日、コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査について報告書をまとめ、公表した。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/sep/200902_1.html

同日、あわせて公取委の菅久修一事務総長が記者会見し、「本部自ら現状を点検し、取引環境が改善に向かうことを強く期待する。もし違反行為に接した場合は厳正に対処したい」と述べた。

内容的な精査はこれからであるが、この件について、現時点でのコンビニ関連ユニオンの基本的な立場を表明する。

まず、公正取引委員会は、コンビニエンスストア本部が加盟店に24時間営業を強制することは独占禁止法違反にあたると明確な見解を示した。

セブンイレブン東大阪南上小阪店オーナーの松本実敏さんが開始した、24時間営業の強制に対する、全国のオーナーの命がけの反乱が、ついに「独占禁止法違反」の公正取引委員会の判断を引き出したのだ。

コンビニ関連ユニオンと全国のオーナー有志の集団申告の呼びかけは、世論と公正取引委員会を動かし、公正取引委員会の全加盟店5万7524店舗への実態調査・1万2093店の回答に結実した。そして77.1%の店舗が深夜帯は赤字、93.5%の店舗が人手不足を感じている、62.7%のオーナーが現在の業務時間について、「どちらかといえば辛い」、「非常に辛い」と回答した。「引き続き24時間営業を続けたい」と回答したのは33.2%にとどまり、66.8%は「人手不足等により一時的に時短営業に切り替えたい」、「一度実験してみたい」又は「時短営業に完全に切り替えたい」と回答した。

そして時短営業に関する本部との交渉状況については、本部が「交渉に応じていない(交渉自体を拒絶している)」との回答も8.7%みられたとし、公正取引委員会は、「優越的地位の濫用」・独占禁止法違反の疑いを指摘し、「厳正に対処」するとコメントしたのである。

また、報告書は、新型コロナ感染防止のための対応も含め24時間営業を巡る事業環境が大きく変化している昨今において、時短営業容認についての周知徹底・加盟者の立場に配慮した丁寧な対応を行う必要について、「特に留意すべき」と指摘した。

現在、セブン-イレブン・ジャパンは、松本実敏オーナーに対して、客のクレームや信頼関係の棄損を理由に、契約解除を強行して、裁判での争いになっている。今回の公正取引委員会の調査結果と態度表明は、松本実敏さんの闘いの正しさを裏付けた。松本実敏さんの裁判を支え、一刻も早く営業の再開を実現しなければならない。そして全国のオーナーが団結して、24時間営業の強制に対して、新たな闘いを巻き起こす必要がある。新型コロナ感染拡大情勢の中で、生きるために、公正取引委員会へのさらなる違反申告の集中を呼びかける。

さらに、いわゆる「ドミナント」問題でも、「近隣への出店を巡る加盟店との約束の順守」を求め、加盟店の近隣には出店しないという約束を本部が一方的に破る行為についても、公取委は違反にあたる可能性があるとの見解を示した。

また、値引き販売の制限についても、今回の調査では加盟店の12%が直近3年間に制限されたと答えた。必要以上の数量を仕入れるよう強要されたとの回答も47.5%にのぼった。公取委は報告書で値引き販売について「柔軟な価格変更をしたいという事業活動を制限しないようにする必要がある」と改めて注意を促した。仕入れの強制についても「多くのオーナーから強い懸念が示され、事実関係によっては独禁法上の問題が生じうる」と強調した。

松本実敏さんの時短営業突入が2019年2月。コンビニ関連ユニオンが準備会として活動を始めたのはその数か月前。それに先立つ、長きにわたるコンビニ・オーナーの闘いがあった。

公正取引委員会の今回の調査結果発表と見解表明は、新自由主義の象徴ともいうべきコンビニのビジネス・モデルに関して、大きなくさびを打ち込み、コンビニオーナーや本部社員、コンビニ関連労働者の闘いの展望を示してくれた。これまでオーナーを「契約」に縛りつけ、横のつながりを分断して、一方的に「優越的地位の濫用」をほしいままにしてきた本部に対して、独占禁止法違反という武器を、オーナーは手に入れた。また、少数の勇気ある闘いが、状況を大きく変えることができることを、証明してくれた。

公取委員長を務める現職の杉本和行氏は70歳の定年を迎えるため、今月で退任する。短い期間で、膨大な調査を行い、結果を出してくれた。また、多くの調査に関わってくれた職員のみなさんの尽力があった。感謝したい。しかし、これから、古谷一之(官房副長官補)新委員長の下で、公正取引委員会が、本当に「厳正な対処」を行うのかどうか、私たちはしっかりと注視していきたい。

今回の公正取引委員会の調査結果の公表と態度表明、本当にこの地平を生かすも殺すも、これからのコンビニ・オーナーの闘いにかかっている。自分の命と生活を守るために、さらなる違反申告に立ち上がろう。全国のコンビニ・オーナーのみなさん。団結しましょう。コンビニ関連ユニオンに結集して、コンビニ・オーナーが人間らしく生きられる業界を作りましょう。本部社員、店舗従業員、すべての関連労働者も力を合わせて立ち上がりましょう。